運命桜―あなたに会えた春―

「“亜米利加”ってどこにあるの?」

「確か……亜細亜の東の方だったかな~」


「へぇ、行ってみたいな……」

「なぁに。お前が大人になれば俺が連れてってやる」

「今は?」

「今は駄目だ」

(やっぱり駄目なんだ……)


期待していたわけじゃないけど、やっぱり外に出られないのは辛い。


「心配するな。お前が大人になれば、絶対に外へ出してやる。俺は、外に出た我が大切な娘を亡くすのが心配なんだ」

今の世の中は安定していないのだから―――お父さんは確かにそう言った。