運命桜―あなたに会えた春―

『―――――桜の花言葉は“心の美”。悪に染まらない、純粋な子に育ってほしい、という意味だ』

と、満足そうに言い張ったお父さん。


「―――――その昔。ある男女が桜の大木の下で出逢いました。しかし、その男女は互いにとある問題を抱えておりました。後に女は男を残して心中し、男は一人になってしまいました。そこで男は、女を忘れぬよう女の好きだった桜の木を植えました。そして、その桜は今もずっと生き続けている………という話です」

私は、ひたすら話し続ける芭瑠の話を黙って聞く。