運命桜―あなたに会えた春―

窓から、桜の木が見える。

昔からある、桜の大木。


「……桜子様。桜子様は、昔からこの街に伝わる言い伝えをご存知で?」

「……言い伝え?」

きょとんとする私の前で、芭瑠は歌い出す。



桜散リユク 木ノ下デ


見知ラヌ男女 出逢イシハ


恋イ焦ガレツツ 突然ニ


来ル全テモ 定メナリ


『―――――桜の舞い散る日に生まれたから、“桜子”』

お父さんが昔から言っている言葉を思い出した。