朝早くに家を出て、電車と新幹線を乗り継いでやっと着いた知らない街

そして…
今、タツが住んでいる街



旅行をあまりしたこと無い私は、何もかもが珍しく、辺りをキョロキョロ見回すばかり

田舎者丸出しだ……




「鈴」

駅前から動けずにいた私に声が掛かる

知らない声――だけど変わらない。

優しい口調



「――タツ!」


振り返った私の前に立つ人物は、やっぱり知らない―――大人の男性


それでも懐かしくて言葉が出て来ない。

言いたい事が沢山あって、謝りたくて…10年分の思いが、言い表せない



「俺んち行くか。…寮だけど」

苦笑いした表情は昔と同じだった。