私の反応に機嫌を良くした男が、体中を舐め回してくる。

ヌメリっとした、ベチャっとした、とにかく気持ち悪い舌が体中を這った


全く抵抗をしなくなった私に笑う男

樹と純が何か叫んでるけど……もぅ、聞きたくない。





あの時も、こんな絶望感だった。

腕の痛みに溢れる血


痛いのは自分の腕。
だけど溢れる血は私の腕じゃない。

目の前に居るカズの右腕

傷に手を伸ばした私の左腕
そこからも溢れる鮮血


痛くて怖くて…


動けない私と違い、カズが傷にハンカチを巻いた。
私の腕に―――


その時だった。
勢い良く開いた扉に飛び込んできた人物

『―――っ』