―――裏。

と言っても普通の道だ。
運動場を横切るからちょっと恥ずかしいだけ

自転車では通れないが駅には此方からの方が近い。

だから多くの生徒が使う道でもある。


「何しに紅燕が来たんだろう」

考えても分からない事を考えるのは、裏から下校する気分から

私の家へは遠回り

ちょっとの嫌味を込めて。
ちょっとだけ…ね









「やっぱりこっちか。乗って」


目の前に止まった車の助手席から急に声がかかる

優しそうな男の人


見知らぬ―――だけど。


「え?」

「乗って」

……何故に?

誘拐犯でももっとまともに誘う。
誰がこんな事で付いて行くか


「何か知りませんけど、乗りませ「手間取らすな。乗れ」