電灯すらついてない薄暗い場所

広い部屋に高い天井
唯一ある窓から優しい、明るい月の光が入ってくる

私を抱きしめる自分の腕と、その腕ごと覆い隠すように回るもう一つの腕


私達に近寄ってくる足音


上げた顔に映るのは、大きな男と……真上から迫る―――





「嫌!!」

目の前にきた手を拒んだ

腕は何の障害もなく動いてくれた



「………鈴?」

蓮司の声に瞑った目を開ける


目の前には蓮司の顔

目に映るのはいつもの部屋

天井には明々と灯る電灯