「思う事……」


思う事は、無い。
でもカズの意図は分かった。


途端に震え出す身体

カズの右腕。
私の左腕と対になる―――傷

それに気付かせる為に腕を振った事



深く息を吸って落ち着く。
そして、目を真っ直ぐ見る。

「ちゃんと覚えてるよ。約束は守ってる」


2人だけの秘密
この傷の事は、誰にも言わない。


「そっか」

呟く声


カズは私と違って傷を曝け出してる。

10年も経つのにカズの傷はあの頃と変わらない。

私のせいなのに…

見るのが辛い。
だって私の傷は―――