紅蓮の姫

「え?………っ」

指差すのは私の左腕


言われるまで気付かなかった。
今日羽織っている黒地のカーディガン。編み目が粗いせいで見えている腕

そして私の肌とは明らかに色が違う肌色のテープ



私の傷痕――――




大丈夫……大丈夫。
テープは見られても傷は見られてない。


「鈴ちゃん?」

まだ大丈夫。
まだ、隠し通せる


「それ、どうしたの?」

あかりさんと真っ直ぐ目が合うの、初めてかもしれない

大丈夫。もう落ち着いた


「何でも、無いですよ?」


「……蓮司は知ってるの?」