先生とあたしを見かけたって訳だ・・・。
あたしはとてつもない絶望に襲われた。
よりによって、杉山くんに見られるなんて・・・。
「椎名・・・・あいつはやめろ」
杉山くんは今までにない真剣な表情で、力強く言った。あたしの腕を握る手もギュッと強くなった。
「いっ・・・痛い」
あたしは顔を歪ませて、少し潤んだ瞳で杉山くんを見つめると、ハッとしたように杉山くんが腕を放した。
「あっ・・・ごめん」
どうしたんだろう?あたしは杉山くんが何を言ってるのか分からない。
「でも・・・和泉だけはやめとけ。それだけは譲れない」
何で・・・?どうしてダメなの?理由が分からない。
「俺は椎名が好きだから、こんな事言ってるんじゃないよ?椎名の付き合ってる奴があいつじゃなかったら、俺はもう諦めるつもりだった。それを今日言おうと思って来たんだ。でも・・・あいつはダメだ」
杉山くんの声が響く・・・
それほど真剣に伝えたいという気持ちが伝わってきた。
ダメだダメだと言われても、何がダメなのか言ってくれないとあたしには分からない。
