禁断の果実



「・・・・・・・・・・・っ」

目を見開いて振り返ると、腕を掴んでいたのは杉山くんだった。

「・・・・ど、どうしたの?」

「椎名・・・・さっきのって・・・和泉先生だろ?」

見られた・・・?

あたしは血の気が引いた。だけど、そこで認めるわけにはいかず、必死で嘘をついた。


「ち、違うよ。先生なんかじゃない。先生があたしと一緒にいる訳ないじゃない」

もしかしたら、暗くてあんまり見えなかったかもしれない・・・

それだったら、違うと言えば分かってくれるかもしれない・・・

そんな少しの期待も無駄に終わってしまう。

「嘘ついたって無駄だよ。あれは確実に和泉先生だった」

どうしよう・・・誤魔化させない・・・。

それに、今の杉山くんはいつもよりも別人みたいだった。

あたしの目は泳いでしまって、隠しとおせない・・・。

「そ、それより・・・どうしてここにいるの?」

「告白した事で、少し話があってきたんだよ・・・メールじゃ嫌だったし、家に来てもいないみたいだったから少し待ってようと思った。そしたら・・・」