禁断の果実


「はは、いいよ。美咲はそれで。気づいてないからいいんだ」

グルグルと考えて百面相だったあたしを先生は笑ってそう言った。

「もう一回キスしていい?」

いつもいきなりだったから、改めて言われると恥ずかしくなって、ぼふっと音が聞こえるような勢いで一気に体温が上がった。

そして、小さくコクンっと頷くと、先生は軽くキスをしてあたしを抱き締めた。

「このまま・・・時間が止まればいいのにな・・・」

本当に・・・誰にも邪魔されず、2人だけでずっといられればいいのにな。



別れを惜しむように、あたしと先生はゆっくりゆっくり歩いて帰った。

ちゃんと家の前まで送り届けてくれて、またキスをくれた。

【じゃあな】と優しく微笑んで、先生は背中を向けて歩いて行った。

あたしは先生の背中が見えなくなるまで見送ったんだ。


幸せを噛み締めて、あたしは家の中に入ろうとする。

すると、突然腕を掴まれ、悲鳴にならない声を上げた。