禁断の果実





「よう、椎名」

「今井先生・・・・どうしたんですか?」

「見かけたから・・・・ついでに涼介とは上手くいってんのかなって聞こうと思って」


今井先生はいつもあたしの心配をしてくれる・・・。

あたしが1年の時からそうだった。

あたしが内向的でほっとけないんだろうけど・・・。

「真っ赤になってるって事は、あれから上手くいったんだな」

今井先生の言葉に、やっぱりあたしも人の事言えないかも・・・って思った。

「あっ、そうそう。今行っても涼介いないよ。今日は仕上げなきゃいけないものあるんだって。だからこれ渡せって頼まれた」

今井先生はそう言って、半分折にした白いメモをあたしに渡した。

「あ・・・ありがとうございます」

今日はいないのか・・・残念。

「・・・そうそう、一つだけ椎名にいい事教えてやるよ」

「何ですか?」

あたしが首を傾げると、今井先生はあたしの耳元で、こう言ったんだ。

「あそこの部屋にはお前だけしか入れてないんだよ」