「・・・・杉山にキスされた訳じゃないんだ？」

「そ、そんな・・・・されてないです」

「じゃあ美咲のファーストキスは俺？」

「・・・・・・・・・・・・・はい・・・・・」

好きな人も出来た事がなければ、恋人だっていない。キスなんてあたしには遠い遠い先なのかと思ってた。

「良かった」

嬉しそうな声でそう言って、あたしを抱きしめる腕に力を込める。

恋をした事がないあたしだって、男女が何するかくらいは分かる・・・

でもキスっていうのは、やっぱり本当に好きな人としたいって思うから、先生が初めてで良かったって思う。

「・・・・美咲」

「はい・・・？」

「早く断って、俺だけのものになれよ」

先生はいったい、何度あたしの心臓を壊すつもりなんだろう？先生の言葉一つ一つに何回止まったか分からない。

こんなに幸せでいいのかな？本当は夢なんじゃないかなって思ってしまう・・・。

でもね、先生・・・・どんなにこれから誰かに何を言われても・・・

もうあたしは先生だけのものだよ？


幸せな日々がこのままずっと続けばいいのに・・・

ただそんな事を先生の腕の中で、願っていた。


だけど、あたしの願いはそんな簡単には叶えてくれなかったんだ。





.