今井先生は学校一美形なのに女の子たちには騒がれてはいない。
それは今井先生には結婚している相手がいるからだった。


知らなかった時は、和泉先生のように毎日女の子に追い掛け回されていたけど、知ってたからは
見向きもしなくなった。彼女がいる男にはまったく興味がないらしい。

「あぁーまた涼介見てたんだ?」

分かりきったように今井先生が平然と口にしてあたしは顔を真っ赤にしてそれを否定した。

「ち、違います・・・あたしは・・・」

「違うって顔してないけど?ホント分かりやすいな椎名は」

からかうように言われあたしは頬を手で隠す。今井先生は何もかもお見通しだった。


1年の時の担任で、少し消極的なあたしをいつも気にかけていてくれた。
それに、いつもあたしをからかって楽しんでいたのも今井先生だ。

「ホントに・・・他の生徒も俺に奥さんがいる事知ったら手のひら返したように涼介に乗り換えて・・・女の考える事は分かんね」

「・・・・・先生が指輪してなかったから分からなかったんですよ」

「ですよって・・・先生に敬語使うのもお前くらいだな」

「それが・・・普通だと思うんですけど?」