「あっ・・・・」

あたしは驚いて目を見開いた。そして先生もあたしがいるとは思っていなかったのか、驚いた表情を見せている。

「椎名・・・」

久しぶりに2人きりになった。ずっとあたしは先生から逃げてたから・・・。

先生は変に思ったりしたかな?

でも何も思わないよね。先生はあたしの事、生徒としか思ってないんだから・・・。


お互いに無言で、少し気まづい空気が流れ始める。あたしはその空気に押しつぶされそうで、耐えられなくなってドアの外へ向かおうとした。

先生の横を通りすぎる前に【さようなら】と挨拶してから、外へ出ようとした時、それを先生によって阻止された。

「・・・・・っ」

先生に力強く腕を掴まれたのだった。あたしは驚いて一瞬先生の方を見たけれど、すぐに目を反らした。

「・・・椎名に話あるんだけど・・・いい?」

先生の目は鋭く真剣で、怒りを含んでいた。優しい声ではあるけれど、低く力強い声にあたしは逃げられないと思った。