イライラしている原因は美咲以外他に見当たらない。涼介は滅多に怒る事もなければ、険しい表情なんて学校では絶対に見せない。


「別に。何もないよ」

「またまた・・・あんなに毎日来てたのに、今日は椎名が来てないなんておかしいだろ」


「この2.3日来てない」

低く、イラだった声で涼介はピシャリと言い放った。優希は【やっぱりそれじゃん】と確信した。

「何で来てねーの?」

「・・・・こっちが聞きたいくらいなんだけど?」

決して怒鳴ったりはせずに、それでも威圧がある声で答えた。それでも抑えている方なんだろう。

涼介は美咲がなんとなく避けているのに気づいていた。職員室でノートを受け取った時は普通だったのに、その後からはホームルームの時も授業中の時も前を見ずに、自分の机を見ていた。

帰る時も声をかけようと思っていたら、逃げるように帰って捉まえられない。

涼介は自分を避ける理由がまったく分からずに、日々イライラしながら過ごしていた。


「・・・・・・・・どうしたんだろうな、あいつ」

美咲自身に最近会っていない優希は美咲の気持ちまでは分からなかった。そして、涼介のイライラしている所を見ると、2人の関係も時間の問題だと優希は心の中でワクワクしていた。