そして、あたしはその日、旧音楽室には行かなかった。帰りも一度も目を合わさずに逃げるように帰った。
先生は・・・変だと思ってるかな?
次の日になれば治まるだろうと、モヤモヤする気持ちを振り払って眠りについたけど、決して治まってはくれず、学校へ向かった。
いつ何度見ても、女の子たちと一緒にいると、イライラは増していった。
その日もその次の日も・・・・旧音楽室に行く事はなかったんだ。
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「うぃーす」
旧音楽室のドアをノックせずに、優希がズカズカと入ってきたけれど、それに対して涼介は何も反応しない。
「あれ?今日は椎名来てないの?」
「・・・・・来てない」
酷くイライラした様子で涼介は答えた。
「なんだよ。からかって遊んでやろうと思ったのに」
残念そうに呟く優希に対してまたしても涼介は無反応だった。涼介の異変に気づいた優希は涼介を見つめる。
「涼介?」
「何?」
まったく表情がなく、少し怒りを含んだ鋭い目で優希を見た。
「何イライラしてんの?」
「・・・・してないよ」
「嘘つけ。お前ホント分かりやすいな・・・・・椎名と何かあったのか?」
