真剣に、でもどこか優しい表情でゆっくりと自分の気持ちを答える涼介を見て、優希は大きな溜息を付いた。
「やっぱりな・・・・」
「俺のピアノ真剣に聴いて、俺の作った曲で涙流す奴なんかいないって思ってた・・・。でも・・・椎名だけは違ったんだ」
人形みたいに可愛いくせに、消極的で、いつも下ばっかり向いて・・・でも純粋で真っ直ぐで・・・汚れを知らないふんわりとした笑顔が涼介には眩しく見えた。
そんな君に惹かれるのはどうしてなんだろう?
「それ、あいつに言ってやれよ。今の何倍も面白い事になるぞ」
だけど・・・ダメなんだ。
君にはとてもリスクが大きすぎる。
「・・・・バーカ。俺は教師であいつは生徒なんだよ。お前と一緒にすんな」
「・・・・俺も一応教師なんだけど?」
「生徒に一度でも手出した奴なんて教師じゃねーよ」
聞き捨てならない涼介の発言に、優希はピシっと青筋を立てて、後ろから涼介の首に腕を回した。
「何だと?お前もう一回言ってみろよ」
喧嘩しているのに、何故か2人は楽しそうで、涼介は少し寂しそうな表情をしていた。
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