いつものように3人一緒に下校して、他愛もない話を繰り返す。

「今日、美咲の奢りでアイス食べに行こうよ」

何の前触れもなく、突然真海が言い出した。慌てる間もなく、沙絵子もそれに同意する。


「えぇ〜っ」

あたしはアタフタとしながら、2人の背中を追いかけて行った。あたしはとてもこの空間が好きなんだ。


そんな3人の姿を、和泉涼介は旧音楽室から静かに見下ろしていた。



いつもあんな風に楽しそうに笑っている3人の関係が微笑ましい。涼介まで幸せな気持ちになれた。

窓から3人の姿をいつも通りに見送っていると、コンコンとドアをノックする音が聞こえてきた。

涼介はドアの方へ振り返り、どうぞと声をかけた。


「おう、久しぶり」

ドアを開けて入って来たのは、今井優希だった。

涼介は少し呆れた様子で目を細める。

「久しぶり・・・・って毎日会ってんじゃん」

「まあ、そうだけど・・・ここに来るのは久しぶりだろ」