人は言葉ではいくらでも嘘をつける・・・。だけど音は嘘をつく事が出来ない・・・・そう思ったんだ。止めた理由は本当にない。でも、家では毎日のように弾いていた。
「・・・・そっか・・・・」
そう言って先生は自分の手をあたしの頬からゆっくりと離した。
どうしたんだろう?先生の表情がとても寂しそうに見えたのは、あたしの気のせいなんだろうか?
ただこうして毎日一緒にいるだけなのに、先生と一緒に過ごすたび・・・もっともっと先生の事が好きになっていく。もっと先生の事が知りたい・・・そう思った。
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「この色ボケ女」
教室に帰るなり、真海が意地悪そうに言った。
「コラコラ、あんまりいじめないの」
沙絵子は何だか楽しそうに、ニコニコとしている。
なんだろう?あたし何かしたかな?
あたしがキョトンと目を丸くしていると、真海があたしの頬を軽く抓った。
「旧音楽室でイチャイチャしてんじゃないよー」
今井先生の時に続いて、真海や沙絵子にもバレていた事を知って、硬直してしまった。
