「走ったら危ない。気をつけろよ」


先生は優しく微笑んで、あたしの体を離してそう言った。
触れた先生の腕の温もりが背中に残っている・・・
ドクンドクンっと大きな鼓動が先生にバレる前に
あたしはすいませんと頭を下げて、教室を出て行った。


ど、どうしよう・・・・・ドキドキが止まらないよっ・・・


あたしは胸を手で押さえたまま、先に校門で待っている
真海と沙絵子に駆けて行った。










「美咲、どうしたの?顔赤いよ」

火照ったあたしの顔を見て真海が覗き込む。
あたしは慌てて両手で頬を押さえる。

「う、ううん・・・何でもないよ」

沙絵子は何か感づいたのか、優しく微笑んでいる。
きっと、沙絵子はこのあたしの恋を応援してくれているんだろう。

「じゃあ、帰ろうか」

沙絵子があたしの肩に手をかけてゆっくりと押してくれた。
暮れかけている夕陽の中にあたしたちはゆっくりと消えて行った。