【短編】絡まる糸

今目の前にいるのは、よく似ているけど、あたしの知らない人なんだ。


驚いた顔をしたのだって、音にびっくりしただけ。


頭の中でそんな風に繰り返して、深呼吸をして立ちあがった。





だけど、その人は。


あたしが何度も聞いたその声で。

あたしが何度もベッドで見つめたその顔で。





「──初めまして。木崎亮です」





あたしの知らない名前を口にした。







end