【短編】絡まる糸

──……。


こんなときなのに、リョウの最後のキスを思い出した。


あれは、別れのキスだったんだろうか。





「他のこと考えてんじゃねぇよ」


乱暴に腕を引かれ、ベッドに放り投げられた。



「ちょっと待ってってば!」


「待ったらおまえ、逃げるだろ」


「逃げたりなんて……やっ!」


あたしの両手を頭の上でひとつにまとめたヤスは、なにかに急かされるようにあたしの服に手をかけた。