大切なもの

「ゆきっっ♪」


「えっちゃん!あ、よろしくお願いします…」


「こちらこそ!(笑)」


「じゃあ…」


「あ、じゃあ最初に慎二君のね…あのねー、慎二君、小6の頃6組の砂土原ってヤツに告られてるんだあ。まあ振ったけどね」


「えっ!!?砂土原って宇宙人って陰で呼ばれてる?」


「そうそう。そいつだよ」


宇宙人とは6組の砂土原麻奈美(さどはらまなみ)。


里愛と仲がいいと聞いたけれど、砂土原が里愛達のグループの悪口を言って、ハミってるという噂もある。


「…で!?」


「あー、砂土原がね諦めきれなくて慎二くんのことを付きまとったの。でも慎二君優しいから振り切れなかったの」


「うんうん。」


「でも、やっぱりウザくなって「「お前みたいなキモイヤツどうでもいい」」ってハッキリ言ったの。で、もうそれから何もないけど…」


「え…慎二そんなこと言うんだ…」



私は不安になった。



…もし私も付きまといすぎて、そういう風に言われたらどうしようって。













「…ゆ…ゆきー??生きてますか?」


少し、意識が遠のいていた。


「あ、うん生きてます」


「どうした?」


「いや、もし自分もそういう風に言われたらどうしよう…って悩んでました」


「ゆきは大丈夫だよ!ゆきと慎二君、お似合いだからがんばってね♪」


今はその言葉もフォローにしか聞こえない。


もうそのまま帰りたい気分だった。


でも、慎二の過去の情報をちゃんと教えてくれた、えっちゃんの恋バナもちゃんと全部聞くのが当たり前だ。









「…で、えっちゃんは?」


「うーん、ウチはなんか最近一哉君もなあ…」




その日はえっちゃんの恋バナを最後まで聞いて、もう部活に行かないで帰った。


部活に行く気になんかなれなかった。


私はもし、自分がそういう風に言われたらどうしよう…


ショックで立ち直れないよ…








ただ、そう考えていた。