幸せの選択

知らなかった。
要さんがそんなことを思っていたなんて。


だけど、私が選んだのは要さん。



「要さん。家族は一人で作るものじゃないですよ?二人で始めるんです。二人で普通以上の家族を作りませーー」

私の口を塞いだ要さんの手




「千秋、プロポーズは俺から言うから





俺と結婚してください」







「はい」








掴んだこの手をもう離さない。
この先迷うことがあっても、この手さえ離さなければきっとその先に幸せは待っていてくれる。


私がギューっと手を握ると、その倍の力で握り返してくれる要さんの手。



「幸せになりましょう」

「ああ」




そして、私たちの時間が流れ始めた。








(完)