幸せの選択

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窓から射し込む眩しい光で目が覚めた。



シトラスの匂いで目を開ける前から隣に要さんがいることが分かる。



明け方まで何度も抱き合って、いつの間にか眠ってしまった身体は、起き上がる前から違和感があった。



そっと目を開けると、


「おはよう。千秋」


要さんの腕に閉じ込められているため、要さんの声が頭の上から降ってきた



「おはよう。要さん」


見上げた私に微笑みながら、髪をすく。


「身体は、大丈夫か?」


「はい。なんだか嘘みたいで、体もまだフワフワ浮かんでるみたいです」



ハハハと笑いながら私をギューっと抱き締める要さん



「このままこの腕に閉じ込めておきたいよ」


「フフフ…要さんもそんなこと言うんですね」


「バカ。こんなの初めてだよ」



指を絡めながら恥ずかしそうに言う要さん

私は昨日からずっと気になっていた事を聞く



「要さん、独立上手くいってないんですか?」

「そんなこと、誰が言った?」



昨日、玲衣さんや河野さんが、私を晃樹に譲ったのは、独立が上手くいってないからだと言っていた。


「どうせアイツらだろ?独立は前から準備してたから順調にいってる。大手のコンペにもまぜてもらえるようになってる」

「えっ?じゃあなんで晃樹に私のコト」



要さんは、フーッと大きく息を吐いて



「アイツに言われたんだ。『俺なら普通の家族を千秋に与えられる』ってな。正直、俺には普通の家庭の経験がないから、お前に与えられるか分からなかった。だったら、俺よりもアイツの方が幸せになれると思った」