幸せの選択

絞り出すように言ってから数秒――



「ごめん。もう解放してあげる」







そっと離れて行く晃樹の手









「笑ってる間に行って?かっこ悪いトコ見せたくないから」


引きつった笑みを浮かべながら、クルリと私を後ろ向きにさせてその背中をポンと押した。




「晃樹……」


「千秋、ありがとう。幸せになるんだよ?」



背中に聞こえる晃樹の声は震えていた。
振り返ろうとする私の頭を押さえて




「このまま帰って?」




という晃樹の言葉に従って、外へ出た。
パタンと閉まるドアの音がした瞬間、押さえていた涙が溢れだした