幸せの選択

痛みがどんどん増してくるこめかみを押さえつつエレベーターに乗ると、カバンの中の携帯が鳴る。




『着信 玲衣さん』




私はすぐに玲衣さんの住むフロアーのボタンを押した。






「いらっしゃーい。どうぞ」


突然の訪問に驚いた様子もなく私を迎えてくれた玲衣さん。

数週間ぶりの玲衣さんの部屋は、実家に帰って来た時のように私の心を解きほぐしてくれた。





「ちょうど帰って来たところに電話が来たから………」


「そんな、いいのよ。いつ来たって私はここにいるんだから」




突然の訪問の言い訳をする私を察してか、玲衣さんは優しく私を抱きしめる。





「気になってたの。でも、千秋ちゃんなかなか来てくれないんだもん」


「ごめんなさい」