幸せの選択

「千秋は、何も心配しなくていいんだよ。俺に任せておけばいいんだよ」



ニッコリと笑う晃樹に、ひきつった笑いしかできない私。






そっと近づいてくる晃樹の顔に、思わず顔を逸らしてしまった。



「どうしたの?」



「ごめん、ちょっと具合悪くなってきちゃって……」



「なんだ、そっか。じゃあ、早く早く帰してあげないとね」



「うん。ありがとう……」





晃樹から逃げるように車から降りる。




頭の中の音は鳴り続け、キリキリとこめかみが痛む。






「おやすみ千秋。本当は今でも同じ家に帰りたいよ」





楽しそうに話す晃樹の顔を見ずにマンションへと入った。