幸せの選択

弱った私の頭には、正常な判断力なんて備わっていない。だからこの手を握り返すことはしちゃいけない。




だけど――



晃樹と一緒なら楽しい日々が過ごせるだろうと言うことも分かってる。





大きな甘えだけど、晃樹と一緒なら要さんを忘れることもできるかもしれない。
そしていつか、この人を世界中で一番大切な人にできるのかもしれない






「良かった。涙止まったね」



晃樹がポツリとつぶやいた。
ハッとして頬に触れて見ると、さっきまで止まることのなかった涙はもう無かった。





「ね?俺なら千秋を泣かせないよ」



「晃樹……でも私」


「俺がいいって言ってるんだからいいの。それに、すぐに俺を好きになるから千秋は心配しなくていいよ」



まるで自分のことのように自信満々な晃樹に、思わずプッと吹き出してしまった。