幸せの選択

「千秋がそんな顔をしてるのに、俺が帰るわけないだろ?いい加減別れよ」



言っている事とは裏腹に、晃樹の声には自信のなさが含まれている




回された腕の力は強くなる



「苦しい……離して」


「離したら逃げるだろ?俺はね、この腕の中に一生閉じ込めておきたいの。だから、逃げると分かってて、離してあげられない」



「こんなこと、嬉しくない」





必死に隙間を作ろうと腕を伸ばしても、結局無駄だった。


抵抗する気力がすっかり失せて、ガクンと膝から崩れ落ちる