『彼と幸せになって』そう言った要さんの瞳には、なにも揺らぐものが無かった。



少しでも揺れ動くものがあったなら、私はきっと「でも、私は要さんが好きです」って言えたのに……





今日1日要さんと過ごして、彼の色々な顔を見て、自分が彼を好きだったんだと気がついたのに、わずか数時間でこんなことになるなんて……






「気付かなければよかった……」



ずっと仕舞い込んでいた感情を一度言葉に出して外に出してしまったら、もう止めることなんてできない。





あふれ出た涙で玲衣さんのワンピースに大きなシミができている。


呆然とそのシミを見つめるだけで、更に涙があふれてくる。





「もう、嫌だ」




ローテーブルに突っ伏した。