幸せの選択

「いいんだよ。お前が一生懸命選んでくれた時計だから。それにコレ、俺がバイトしてる時にいつか買いに来ますって言ってた時計なんだ」





「えっ?」




驚く私に、笑って顔を見合わせる二人





「お嬢さん、それは本当の話。これは普段ココには置いてない時計なんだよ。さっき坂巻君が来た時にそっとここに置いたんだ。君がこれを選んだ時には驚いたけど、坂巻君は驚かなかったみたいだね?」






「三島が、どれだけ考えて選んでくれたか分かるよ。ありがとう」




「そんな………」




要さんの腕にしっくりハマるその時計を見ながら、自分が起こした偶然に言葉が出ない。





会計を済ませた要さんは、ご主人に挨拶をして店を出る。
その後に続いて店を出ようとした私に「また二人でおいで」と手を振ってくれたご主人



「ありがとうございます」


振り返り挨拶をして店を後にした。