幸せの選択

自動ドアが開くと、中から「いらっしゃいませ」とここの店主らしき年配の男性が声をかけた。





「こんにちは。お久しぶりです」


「これはこれは、坂巻君。ずいぶん久しぶりじゃないか」



「すみません、ちょっとご無沙汰が過ぎましたね」




どうやら、要さんとここのご主人は知り合いのよう。







「ところで、今日はかわいい方をお連れだね」


一通り挨拶が終わったところで、ご主人が私の方へと視線を向けた。





「今日は彼女に時計を選んでもらおうと思ってまして」


「そう。じゃあ、ゆっくり見て行ってね」



そう言い残して店主は奥へと下がっていった。