幸せの選択

心配そうに見つめる視線。




「だ、大丈夫です。あの、それより早く行きましょう」





一秒でも早くこのシチュエーションから解放されたくて、要さんの手を取り店へと歩き始めた。



少し驚いた顔をした要さんも「そうだな」と店へと足を向けた。






着いたお店は時計店だった。
シックな店構えのそのお店は、綺麗に磨かれたショーウィンドウにいくつもの時計が並んでいる。



パット見ても『高級時計』





「三島に、俺の時計を選んでもらおうかと思って」


「えっ?私にですか?」



「そう」



きっと私一人だったら入るのをためらってしまいそうなこの店に、要さんはまったく躊躇することなく入っていった。