幸せの選択

一度引っ込めてしまった言葉は、再び言い出すタイミングを計るのが難しい。
第一、勢いがすっかり削がれてしまって、もう一度言うには勇気が足りなさすぎる。




「どうした?暑い?」



急に黙り込んだ私を心配してくれる目。
そんな事でさえも、キューンと胸が締め付けられる。




アタタタタ……





「大丈夫か?疲れた?」


ちょうど信号で止まったため、要さんは本当に心配そうに身を乗り出して私の顔を覗きこむ。





ち、ち、近い




かぁー