幸せの選択

沈黙の間からザワザワと音が聞こえる。



電車のアナウンスらしきものが聞こえるってことは駅にいるのだろうか。



「晃樹はどこにいるの?」


『出先。これから帰るんだけど時間も時間だから直帰しようかと思ってさ。千秋の家に近いからご飯付き合ってもらおうかって思ったの」



「そっか。ごめん」

『別にいいよ。それより、今一人なの?』




ピーっとお湯が湧いたお知らせ音が鳴る。







「うん。今ちょうど休憩兼ねてコーヒー淹れてたとこ」


『そっか。千秋のコーヒー飲みたいなぁ」


「ウフフフ残念」


受話器を肩に挟みながら、コポコポとお湯を注ぐ。
コーヒーの香ばしい香りが一気に広がる。