幸せの選択

残っている社員が私しかいないため、廊下の電気も間引いてある。
薄暗い廊下の先の給湯室へと向かう。



いつもは、事務室内にコーヒーサーバーがあるのだけれど、残っている社員が少なくなったところで私が片づけてしまった。





真っ暗な給湯室の電気スイッチをつけて中に入る。
お湯を沸かすためにやかんを火に掛けながら、ユラユラ揺れる炎を見つめていると、ポケットに入っていた携帯がブーンブーンと震えた。




取り出して見ると「岡本晃樹」の名前が液晶に映されている。




「もしもし?」


『千秋?今どこ?』



「まだ仕事してる」


『マジで?まだ終わんない?』



晃樹は外にいるのか周りが賑やか



「うん。ごめんまだ終わりそうにない」



『そっか……』