幸せの選択

後ろから「三島」と呼ばれた声がしたけど、振り返ることなくそのまま歩き続ける。





エレベータの前まで来ると、カツカツと駆け寄ってくる足音がした。
誰なんて、振り返ることなく分かる。


その足音が私の横まで来ると、シトラスの香りがする。





「途中で倒れたら大変だ。送ってく」


「えっ?だって、お仕事」



「大丈夫、お前が無事に戻れるか心配しながら仕事する方が支障がでる」



「そ、そんな!大丈夫です。一人で帰れますよ戻ってください」




まっすぐ前を向いたまま無言の要さんの顔をみて、これ以上何を言っても聞き入れられないことは分かっている。