幸せの選択

そういえば、要さんが私に与えた仕事は明らかに雑用ではなかった。
そのおかげで、腐ることなくこの会社で仕事が続けられたのかもしれない。



いつも要さんに助けられてばかりだと改めて思う。
そして、会ったら「ありがとう」と伝えよう。




そんな事を思っていたら、一秒でも早く会いたくなって、急いで片づけをして部屋を出た。







「失礼します」


古巣の事務所に挨拶をしながら入ると、あちこちから「おお、三島さん」と声を掛けられる。



ここで数か月前まで毎日働いていたのに、すっかり他人の家のように感じる。

奥にある見覚えのある要さんのデスク。
私は、まっすぐそこへと向かう





「こんにちは」



「ああ。悪いな呼びとめて」

「いえ」