幸せの選択

頭を上げた藤原さんは申し訳なさそうな顔をしていた。

私は、そんな藤原さんに大きく頭を振って




「違います。私そんな能力ないですし、ここにお持ちするデザインだって上司がフォローしてくれているから見れるものになってますけど、私の物なんてみれませんよ。

それに、ここにいた時は私の仕事はみなさんのフォローでしたから、藤原さんが私に謝るなんておかしいですよ?」



「三島さん……」



驚いた顔をした藤原さん。
だけど、私が言ったことは本当の気持ち。



だって、ここでは派遣社員。
私の仕事は社員のサブ。



それに――



「藤原さん、私サブの仕事をしながらけっこう色々勉強させてもらいましたよ。藤原さん達の書く図面で設計図の見方を覚えたり、資料作るときだって色々な資材を知ることができたし。だから、ここでの仕事も嫌ではありませんでしたよ」