幸せの選択

「三島、河野から聞いたんだろ?俺の育った場所のコト」



視線をゆっくり私へと向け、優しく微笑む要さんの顔は暗くてよく見えない。




「……はい。すみません」


「なんで三島が謝るの?別に悪いことなんてなにもないよ」


「でも……要さん知られたくなかったんじゃないですか?」




「いや、いつかは話そうと思ってた。もう少し先にね。でも、今夜知ったのなら、きっと今夜が話すのにちょうどいいタイミングだったんだと思う。聞いてくれる?」






俯く私の顔を覗きこむ要さんの目の中に、街灯の光が映っていてキラキラと輝いているように見える。




「もし、嫌でなければ」