幸せの選択

バタンとドアを閉めて、運転席に乗り込む課長……じゃなくて要さん。


車の中に置いてあるカバンの中から眼鏡ケースを出してかけた。





「あれ?かちょ……じゃなくて要さん。眼鏡してましたっけ?」



「あぁ、普段はコンタクト。最近ちょっと残業続いてて目がな」





私が一緒に働いていたときだって要さんが定時で帰宅することなんてなかったし、誰よりも残業時間が長くてもシレッとした顔していた。

なのに、そんな要さんが『残業続きで』なんて言うってことは、ほとんど社に泊まり込んでいるのではないかと思う。







「そんなに忙しいんですか?」


「まぁな」