幸せの選択

課長のおかげで気まずい空間にならずに済んだエレベーターは、すぐに階下へと着いた。





「俺、車なんだけどちょっと外出れる?」



「あ…はい。大丈夫です」



見慣れたキーをポケットから出した課長。
マンションの来客駐車場に止まっている車のキーがカチャリと開いた。




「どうぞ」

「ありがとうございます」



私が乗り込む時は、やっぱり頭をぶつけないようにフォローしてくれた。
さりげない所作だけど、今晩はなんだか感慨深い。




「どうした?」


「あ、いえ課長はいつも行動がスマートだなと思って」





「………三島…課長は無し」



「あ……すみません」