幸せの選択

晃樹の旋毛をマジマジと見つめながら、今の言葉をリプレイする。



「今まで好きになったことなかったって?」


「そう。俺に近づいてくる女たちはみんな俺じゃなくて『オカモト』が好きな女だったから」


「あ……」



「でも、そんなに卑屈でもないよ?俺はそれでもいいと思ってたし。現に女に困ったこと1度も無い生活させてもらったから」




クスリと笑う晃樹の顔
でも、どこか寂しく見えるのは私の気のせいなのだろうか



「俺さ、このまま誰も好きになることなんてないって思ってたの。それでも、仕事があるからいいやってね。でもさ、千秋に会って初めて人を好きになるってこういう気持ちなんだって思った」


「………」