幸せの選択

「着いたよ」




シートから体を起こすと、マンションの前に着いていた。





「あ………ありがとう。じゃあ――」


「うん」






チラリともこっちを見ない晃樹の横顔にお礼を言って、車から出ようとドアに手を掛ける。


ドアレバーを引いても、開かない。
良く見ると、ロックがかかったまま




カッコ悪すぎる。





「ロックがかかったままだった。私ったら飲み過ぎだね。アハハ…ハア……」



「………」





一秒でも早くこの場から逃げ出したい。






ドアロックを解除して、今度こそレバーを引こうと手をかける。