幸せの選択

沈黙が、ガラスのようにもろくなった私の心を砕こうとする。



「あのさ千秋、『私なんか』ってどういう意味?」



沈黙を破って晃樹が話し始めてくれたことに一瞬安堵したけれど、不機嫌全快な態度に、再び心が凍りつく




「………それは……」



「それは?」





どうやら晃樹は私が答えるまで先には進んでくれないらしい。





「だって、晃樹って誰が見たってモテるでしょ?見た目もそうだけど、人付き合いも上手だし。
それに、あのオカモトの社長の孫でしょ?
黙っていたって、女の子が寄ってくるだろうし。だから、私とは――」





その先の言葉を、行ってしまっていいのだろうかと迷って口ごもる。




「だから何?」

「うん……」