幸せの選択

「かわいいから、かわいいって言っただけ。そんな顔してもらえるんだったらもっと言っちゃうよ?千秋かわいい」




「……っ!」



顔から火が出るって、こんなことなんだと思う。
耳たぶの先まで熱くなる自分を、これ以上晃樹に見られたくないから、両手で顔を覆った。




「ハハッハ!千秋、かわい過ぎだろ?そんなに煽っていいの?」



キーを差し込み、エンジンを掛けながら晃樹が笑ってる。
ポンポンと頭を撫でられてから、フワッと近くに晃樹の香りがした。


そのすぐ後、自分のではない体温を感じて、顔を覆っていた手を離して見ると、直近に晃樹の顔




「えっ?何?」


何かされるのかと一瞬固まる私の耳に、ガチャリとシートベルトの差し込まれる音がした。