幸せの選択

私の問いかけに答える気はないらしく、振り返ることもなく鼻歌交じりに先を行く。


納得いかない私は晃樹を追い越して、前に回り込む。
そんな私の顔を、眩しいくらいの笑顔で見ると突然私の口に人差し指をあてる。




「しーっ。千秋には分からなくていいの。俺の中のツボの話だから」




口に指をあてられている私は、うまく話すことができない。
だから、首をかしげて「全然分からない」と答える




「だから、説明しても分からないし、分からなくていいの。それより早く行こう。腹減った」





そう言って口にあてていた指を離し、私の腕を掴んで小走りに出口へと向かう。